2月からはじまった2024年のJリーグもすでにシーズン後半戦へと突入し、熾烈な争いが繰り広げられています。昨季はヴィッセル神戸が優勝を果たすも、今季はシーズン前からダークホースとして注目を集めていたFC町田ゼルビアが旋風を巻き起こしており、フットボール界に新時代が訪れようとしています。
さらに、シーズン中盤には予想外の選手移籍が続き、どのチームが頂点に立つのかますます予測が困難となっています。
そのため、従来とは異なるチームの優勝争いへの参戦で、ブックメーカー 日本におけるオッズも大きく変化。J2から鳴り物入りでJ1にやって来たFC町田ゼルビアが、このままの勢いで優勝を果たすのか。それとも、ヴィッセル神戸やサンフレッチェ広島など、毎年の優勝候補たちが最終的には状況をひっくり返すのか。Jリーグ優勝争いに向けたブックメーカーのオッズは大いに賑わいを見せています。
そこで本記事では、2024年のJリーグ優勝候補を分析します。
ヴィッセル神戸
昨季はサッカー元スペイン代表のイニエスタ選手が退団するも勝ち点「68」を獲得し、クラブ創設29年目で初となる優勝を果たしたヴィッセル神戸。今季も元日本代表の大迫勇也選手や酒井高徳選手を筆頭に連覇を目指してシーズンを迎えましたが、3/2(土)のホーム開幕戦ではいきなりの黒星を喫する結果に。
しかし、優勝候補のFC町田ゼルビアやサンフレッチェ広島との対戦では昨季のような勝負強さを見せ、本稿執筆現時点では勝ち点「46」でリーグ5位となっています。
一方で、ここの来てチームトップの9ゴールを決めている武藤嘉紀選手が腰を痛め、酒井高徳選手や山口蛍選手も怪我で戦線を離脱。主力選手が欠けている中で、今後の大事な試合においてどのような試合展開をしていくのか、監督の手腕も問われています。
FC町田ゼルビア
FC町田ゼルビアは、昨季にクラブ史上初のJ2優勝を果たし、今季よりJ1に参戦しています。そして、本稿執筆時点ではリーグ首位となる勝ち点「53」を獲得しており、優勝候補の一角に堂々と名を連ねています。
チームの好調を支える要因としてまず挙げられるのが、監督である黒田剛氏の戦術です。28年間に渡り、サッカーの名門・青森山田高校を指揮し、全国高校サッカー選手権では3度の優勝に貢献。そんな同監督ですが、2023年よりFC町田ゼルビアの監督に就任しています。その後、サッカー界ではビルドアップにおける戦術が近年のトレンドにある一方で、シンプルな堅守速攻の戦術を自チームに徹底。その結果、一貫した哲学によって、チームは見事首位に立っています。
また、今季より加入した新戦力にも注目です。たとえば、7月23日(火)には名古屋グランパスから相馬勇紀選手を獲得。続けて、8月14日(水)には欧州リーグから中山雄太選手の獲得に成功しました。両選手ともに現日本代表であり、特に中山雄太選手に関しては、8月17日(土)の対ジュビロ磐田戦においてすでにゴールも決めています。
このような経験豊富な選手の加入は、FC町田ゼルビアの士気を挙げ、さらにはJリーグ全体の盛り上がりにも貢献しています。
サンフレッチェ広島
サンフレッチェ広島といえば、現日本代表監督の森保一氏が率いていた時代に3度の優勝を果たした、常に攻守のバランスが取れたチームとして知られています。そして、2022年と2023年シーズンは連続して3位となり、改めて9年振りとなる優勝を目指して今季は現時点でFC町田ゼルビアに次ぐ2位に付けています。
特に守備面の安定が際立っており、佐々木翔と荒木隼人、塩谷司選手のリーグ屈指の3バックが頑丈な壁を築き、現日本代表キーパーである大迫敬介選手がゴールマウスを守っています。このように堅実な守備が武器となる一方で、今季は引き分けが多く、勝ちきれない試合が増えています。したがって、いかに取りこぼしを少なくするかが優勝の行方を大きく左右していくでしょう。
また、9月17日(火)より始まるAFCチャンピオンズリーグ2のグループステージですが、サンフレッチェ広島も参戦を予定しています。そのため、Jリーグとの兼ね合いでチームをローテーションしていく必要があるため、選手のバランスをうまく保てるか否かが今後の鍵を握っていくはずです。
鹿島アントラーズ
鹿島アントラーズは、Jリーグ最多優勝を誇る名門クラブとして、常にタイトル候補の筆頭に挙げられる存在です。2024シーズンも例外ではなく、その伝統のDNAと若手の台頭を武器に、優勝を狙う構えを見せています。
鹿島の最大の強みは、長年培ってきた勝利への強いこだわりとメンタリティでしょう。チームのエースであるフォワードの鈴木優磨選手をはじめ、2018年のロシアW杯にて日本代表チームの心臓として活躍した柴崎岳選手などがチームに活力をもたらしています。
ただし、鈴木優磨選手が不在の際は、チームは上位対決で勝ちきれないケースが多く見られています。また、優秀な若手選手の海外移籍のリスクも常に存在しているため、主力選手が不在の時でもいかにチーム力を維持、向上させていくかが重要となるでしょう。
まとめ
2024年シーズンのJリーグは、現時点で上位5チームの勝ち点差はさほど大きくなく、非常にエキサイティングな展開を見せています。特に、昨年優勝のヴィッセル神戸やサンフレッチェ広島、鹿島アントラーズといった伝統の強豪チームに加え、FC町田ゼルビアが優勝争いに絡んでいることが、Jリーグのさらなる盛り上がりに貢献しています。
本記事で解説したように、各チームはそれぞれが独自の強みを持っています。今後のシーズン終盤戦では、各チームの調子や戦術、選手のコンディションが優勝争いの行方を大きく左右するでしょう。ファンにとっては、最後まで目が離せないシーズンとなることは間違いありません。